校正の思い出
新刊の再校があったので、校正についていろいろ思いだしていました。
校正というのは、本を出すまえに、
作家が書いた文章の間違いなどを直してゆくことです。
作家本人もあらためて直したいところをチェックするのですが、
この段階では第三者の目でもチェックしてもらいます。
そのチェックをするプロが校正者さんです。
校正者さんは、作者が気づいていない誤字や用法間違い、
表記ゆれ、矛盾点などを指摘してくれる
小説家にとってはたいへんありがた~い人たちです。
ときに「なんじゃそりゃ?」ってツッコミもありますが、
「そうか、ここ誤読しやすい箇所なのかもなー」と気づくきっかけにもなります。
たまに校正ゲラをあいだに挟んで、
校正者さんとなんとなく心が通い合うような瞬間もあります。
ガンダムSEEDのときは、
「わー、すっごく細やかなチェック。この人ぜったいSEED観てる!」
って校正者さんがいて、そのことを編集者さんに伝えたら、
「じゃ、今後この校正者さんを指名しましょう」
「えっ、そんなことできるんですか? なら、ぜひ!」
ということになり、シリーズぜんぶの校正をお願いしました。
(その節は愛情あふれる細やかなチェックをありがとうございました!)
忘れられないのは、とあるホラーものを書いたとき。
作中、主婦がキッチンで不可解な死を遂げるシーンで、
こういうチェックが入っていました。
「もしかして冷蔵庫が開いたままでは?」
そう! そう!
たしかに開いたままなのです。
冷蔵庫なんかにかまっちゃいられないというシーンなんです。
でも、
すっごくわかる~!
私も映画やドラマで冷蔵庫が開いたままになっていると、
なんだか気になってそわそわしてしまうんですよね。
「閉めろよ、冷気が逃げるよ!」って。
この瞬間、校正ゲラを挟んで、校正者さんと深く深く共感してしまいました。
気になりますよね~、
私たち、小市民ですね~、って。
とはいえ、冷蔵庫はそのまま開けっ放しです。
だってホラーだし。
みなさんも、もしそのシーンを読んだら、
冷蔵庫開いてるんだなーと思ってください。
そしてそのことに気づいた校正者さんの眼力にちょっと感心してください。
『貞子3D2 再誕』って本なんですけど……w